トリガーポイント注射は効かない?やり過ぎ?
千葉県流山市で鍼灸治療院を経営している野崎真治です。
当院ではトリガーポイント鍼療法を専門におこなっております。
その関係で色々な方から「トリガーポイント注射」についてのご質問を受けます。
私は2003年からトリガーポイント治療を専門に研鑽しており、
その過程でトリガーポイント注射をおこなっている先生方とも密にやりとりをした経験もあります。
それらの経験から「トリガーポイント注射」に関して寄せられるご質問について私の見解を書きたいと思います。
トリガーポイント注射とは?
トリガーポイント注射は、痛みを取るための治療の一つで、注射療法の一つです。
疼痛がある部位に注射を打つ方法で、医師が痛む部位を中心に触診し筋硬結を触れる部位(トリガーポイント)に注射を行い、局所麻酔薬や消炎鎮痛薬などを注入します。薬液は、0.1%ジブカイン塩酸塩配合剤(ネオビタカイン®注)、または局所麻酔薬である1%メピバカイン塩酸塩を使用します。
トリガーポイントとは?
トリガーとは引き金という意味で、遠隔部に痛みを出現させるという事から名付けられたようです。
耳慣れないので特別な物のように思うかもしれませんが、実は腰痛、肩こり、坐骨神経痛、膝痛などはほとんどがこのトリガーポイントによるもので、実際には大変身近なものです。
筋肉や筋膜などが硬くなり過敏なポイント(トリガーポイント)が出現し、痛みやしびれなどを生じさせるのです。
トリガーポイントはなぜできるのか?
トリガーポイントは上に述べたように筋・筋膜に形成される過敏なポイントです。(感作部位ともよびます)
同一姿勢の維持やスポーツなどの筋収縮の繰り返しで特定の筋肉に負荷が掛かり、筋硬結というしこりが形成されます。
次いで、筋硬結の存在する筋膜やその筋肉の骨への付着部の受容器が興奮し過敏化します。(先行する場合も多い)
この過敏化した受容器を「トリガーポイント」とよんでいます。
ざっくり言えば、何らかの原因による筋肉の疲れにより硬さや神経の興奮が現れるようなイメージです。
トリガーポイントへの治療法は
トリガーポイントに対する治療法はシンプルです。
トリガーポイントの興奮を薬剤でおさえたり、物理的に刺激したりします。
薬剤で興奮をおさえようというのがトリガーポイント注射です。
一方、物理的に刺激し、その刺激により興奮した受容器の過敏さを鎮めたり、
一度破壊することで過敏になった受容器を作り直そうというのがトリガーポイント鍼治療です。
主にこの2つがトリガーポイントに対するメジャーな治療法といっていいでしょう。
トリガーポイント注射とトリガーポイント鍼の比較
トリガーポイント注射
①少しずつ薬液を注入すれば広い範囲をカバーできる。局所麻酔薬を使用するので比較的痛みが少ない。
②麻酔薬で感覚が麻痺するので「そこが痛むところです」という症状の再現や痛みの原因部位の認知は難しい。
③注射針の長さに制限があり深部を治療することは難しい。
トリガーポイント鍼治療
①注射に比べ比較的狭い範囲をピンポイントで狙う場合が多い
②トリガーポイントに鍼が当たった時に「ズーン」とした重い響きがともなう。
③深部の筋をダイレクトに刺激することが可能で「私の痛いのはそれです」という感覚が出やすい。
トリガーポイント注射の場合、薬液の広がりがあるので正確に当てなくてもそこそこの効果は出やすい。
しかし深部のトリガーポイントを刺激するのが難しい。
トリガーポイント鍼の場合、ズーンという響きをともなうが深部のトリガーポイントを刺激できる。
ピンポイントに一番悪い部位を狙うことができるが技術の差がでやすい。
それぞれこのような違い、特徴があります。
トリガーポイント注射は効かない?
上記の記載から「トリガーポイント注射は効かないの?」というご質問への答えが導き出されます。
深部に形成されたトリガーポイントを刺激することが難しいのでそのような場合は効果を感じにくいでしょう。
また、そもそも原因となっているトリガーポイントに当てられなければ難しいと思います。
したがって比較的表層に形成されたトリガーポイントを正確に刺激できれば効果はあります。
正確に刺激できるかは術者の技術と経験によると思います。しかし表層の刺激なのでそこまでの熟練度は必要ないように思われます。比較的患者さんが多く来院し経験豊富な先生ならば大丈夫だと思います。
トリガーポイント注射が効かない場合
その場合は深部に形成されたトリガーポイントが原因となっていることが多いです。
深部の刺激にはトリガーポイント鍼がとても有効です。
トリガーポイントを標榜している鍼灸院での施術をお勧めします。
しかし深部へ刺鍼するには訓練と経験が必要ですので施術者の経験などはよく調べた方が良いと思います。
トリガーポイント注射を一定の頻度で数カ月受けても効果が今一つ感じられない、受けてもすぐに症状が戻るという場合は
そのまま漫然と続けるよりも他の方法を検討することをお勧めします。
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