治らない腱鞘炎の痛み、それは筋・筋膜痛かもしれません

「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」「ばね指(弾発指)」「母指CM関節症(親指付け根関節の変形性関節症)」など腱鞘炎と診断された手・指の痛みで、消炎鎮痛薬・ステロイド剤の注射、また装具(サポーター)、アイシングなどの理学療法を受けたが、あまり効果が上がらず手術を勧められたり、考えている方。
さまざまな代替療法で、一時的に手・指の痛みがなくなったが、しばらくすると元に戻ってしまったり、他の部分が痛くなった方。

その痛みは、筋・筋膜痛によるものかもしれません。
腱鞘炎というと女性、とくに妊娠・出産期、育児中の発症が非常に多いことが知られています。更年期の女性にも多いのが特徴ですが、原因は不明です。
治療により痛みが軽くなっても、再発を繰り返す腱鞘炎。だからといって赤ちゃんを育てるのは24時間休みなし、安静にしていることなどできません。

腱鞘炎に限らず、原因がはっきりしない関節の痛みは数多くあります。たとえば腰痛で病名がつけられるのは、全体の約2割です。残りの8割は原因不明といわれたり、関節の老化、使いすぎのためといわれます。実はこれらは筋・筋膜痛の疑いがあります。

筋・筋膜が原因の腱鞘炎の場合、抗炎症薬やステロイド剤により、一時的に手・指の痛みが治まっても、再発することが非常に多いのです。さらに長期間にわたって、これらの薬を使用していると、副作用や合併症の心配もあります。

代替療法で一時的に痛みが治まることはありますが、すぐ元に戻ってしまう方が多いようです。筋・筋膜痛に対しては、今のところ「神の手」のような、たちどころに痛みがなくなる治療方法はありません。
また1カ所の痛みが改善されても、別の部分が痛み始めることがよくあります。これは筋・筋膜痛の特徴で、強い痛みに隠れていた他の痛みが現れたり、痛いところを治療することによって、新たに痛む部分が形成されるためです。

筋・筋膜痛による腱鞘炎の痛みとは

それでは筋・筋膜痛が疑われる、腱鞘炎による原因不明の手・指の痛みを解消するには、どのようにしたらよいのでしょうか。

筋・筋膜痛を一言でいえば、筋膜などにある痛みの受容器が、何らかの原因で異常を起こして発する痛みです。異常が起き過敏になった痛みの受容器を、トリガーポイントといいます。
普通は何でもない日常の動作・運動などで、このトリガーポイントが刺激されると、強い痛みとして感じるのが、筋・筋膜痛の正体なのです。

筋・筋膜痛では痛みを感じても、関節等に病変はないことが多いのです。トリガーポイントを治療することにより、神経の興奮を取り除き、緊張している筋肉をほぐします。同時に日常生活で偏った姿勢や動作に気をつけ、適度なトレーニングを行います。

トリガーポイント治療で、いままで悩んでいた筋・筋膜痛からくる、しつこい手・指の痛みが解消し、腱鞘炎再発を予防できている方がたくさんいらっしゃいます。

筋・筋膜痛を治療する

筋・筋膜痛を解消するトリガーポイント治療とは、どのような治療法でしょうか。基本的な考え方は、異常を起こしている痛みの受容器であるトリガーポイントを、傷つけたり麻痺させたりして、新たに正常な受容器の再生を促すことです。
痛みの受容器はごく小さな組織で、傷ついても数時間で修復が始まり、数日で回復します。トリガーポイント治療は副作用がなく、後遺症も残らない治療法です。

筋・筋膜痛の治療法には、トリガーポイントマッサージ・トリガーポイント注射・トリガーポイント鍼などがあります。
トリガーポイントマッサージは、手技や器具を使ってマッサージを行い、筋肉のコリをほぐすとともにトリガーポイントに刺激を与えます。
トリガーポイント注射は、主に麻酔薬をトリガーポイント近辺に注射し、固くなった筋肉を弛緩させたりトリガーポイントを麻痺させます。

のざき鍼灸治療院のトリガーポイント治療は、傷んでいるトリガーポイントに鍼を直接作用させ、細胞が修復する過程で痛みの受容器を正常な組織へと向かわせます。トリガーポイントは実体のある組織ですから、正確に鍼を刺入すれば高い効果が望めます。

トリガーポイントは、筋肉と腱の境目や骨に付着する部位に形成されやすい傾向があります。そのため腱鞘炎は腱炎を併発することが多いのです。(鞘)の炎症を治療する対症療法でない、(腱)の患部へダイレクトにアプローチできる、トリガーポイント鍼治療が有効です。

「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」「ばね指(弾発指)」「母指CM関節症(親指付け根関節の変形性関節症)」と診断され、健康保険適応の消炎鎮痛薬・理学療法などで、はかばかしい治療効果がみられない方は、手術療法の前にトリガーポイント鍼治療を試してみることをお勧めします。