筋を痛めた! 治らない? 治し方は

なかなか治らない痛みは筋・筋膜痛?

スポーツや家事などにおけるふとした瞬間に何かのきっかけでスジを痛めてしまうことがあります。

その痛みがなかなか治まらなかったら不安になりますよね。

また何かの原因で痛みが生じ、なかなかその痛みが治まらない。

そのような時に色々と調べて、これはスジを痛めたのではないかと思った方もいらっしゃると思います。

そのようにふとした動作で痛めるものの多くは筋肉や筋膜といった組織です。

筋膜リリースという言葉はよく耳にするようになったものの筋肉や筋膜の痛みについて分からない。

そもそも筋を痛めるってどういうことでどうすればいいのか?

などといった疑問を持たれる方がたくさんいらっしゃいます。

そのような方の不安や疑問を解消するために本記事を書いていきます。

 

そもそも筋を痛めるとは

筋を痛める一番身近な例として「肉ばなれ」が最初に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

また「寝違え」「ぎっくり腰」なども程度は違えど筋を痛めたことが原因となります。

筋を痛めるとは具体的には筋膜や筋繊維の損傷です。

ソーセージの皮が筋膜で中身が筋繊維です。

それらが急な外力で損傷してしまうことを筋挫傷と呼びます。

筋肉が裂けたり破れたりすることを筋断裂といいますが、筋断裂のうち範囲が部分的なものを一般的に肉離れと呼びます。

「筋を痛める」「筋を違える」というのは筋挫傷の中でも比較的軽い物のイメージだと思います。

肉離れがスポーツなど大きな筋力を発揮した際に起こるのに対し、ぎっくり腰などは軽い力で起こることが多いからです。

筋膜性疼痛には急性と慢性がある

筋を痛めた最初の段階はみな急性期にあたります。

特にスポーツによる肉ばなれなどは腫れや内出血なども顕著にみられます。

これらは急性の筋・筋膜の痛みといえるでしょう。

3日から一週間程度経過しますと炎症が消退してきます。

この段階で残っている痛みは「筋スパズム」の痛みです。

怪我にともなう反射的な筋緊張のようなものです。

この筋スパズムは怪我の超早期から出現し、筋緊張から血管・リンパ管の流れを阻害し、怪我の治癒を遅らせます。

またぎっくり腰や寝違いなどは損傷の程度は少なく、痛みの大部分はこの「筋スパズム」に由来します。

この筋スパズムによる痛みが「慢性的な筋・筋膜痛」といっていいでしょう。

急性は初期対応が重要

急性の肉ばなれなどにも早期から筋スパズムが生じるのでこれを的確に処置できるかが怪我の治り具合に大きく影響します。

怪我の治癒には白血球を始めとする血液成分が必須ですから患部の循環をきちんと確保することが大切なのです。

 

慢性化したものをMPSと呼ぶ

一方で筋挫傷や筋肉痛の早期に血液の循環が不足していることで二次的な痛みが発生することが知られています。

受容器という感覚を伝える器官が「過敏化」といって痛みの原因になってしまうのです。

このように程度の違いはあれども早期に患部への循環が不足したことで受容器が過敏化し治癒が遅れたものが慢性の筋・筋膜痛といえます。

 

この慢性の筋・筋膜痛は放置しておくと周りの筋肉にも影響を与え、範囲が広がっていきます。

このように広範囲に慢性の筋・筋膜痛が広がったものを「筋・筋膜性疼痛症候群」(MPS)と呼んでいます。

 

医学的にきちんと認められた正確な病名ではないのですが、筋肉が原因で様々な症状にお悩みの方は大変に多く、今後科学的に検証されていく事が望まれます。

 

筋膜性疼痛の解決法

筋膜性疼痛の正体は「過敏化した受容器」およびその周辺の「筋硬結」です。

過敏化した受容器の過敏化を取る(脱感作といいます)、硬結をほぐす。

この2つが最短の解決法になります。

その方法として注射による麻酔薬や食塩水の注入、そして鍼などがあります。

麻酔薬や食塩水による科学的な機序も作用としてあるかと思いますが、最も大切なのは「物理的な刺激」だと考えています。

すなわち過敏化した受容器を刺激することで一度傷をつける。

 

その傷を修復する過程で正常化を促す。

これが根本的に大切なことだと思います。

物理的な刺激に最も適しているのが熟練した施術者の行う鍼刺激です。

それを継続的に行うことと、体自体の治癒力をあげること。

睡眠、そして栄養。適切な運動です。

それらが合わさることで「筋・筋膜性疼痛症候群」の解決になるのです。

また、循環が大切ですので、入浴・サウナなどは大変に有用です。

 

 

運営者情報

流山市の鍼灸院 のざき鍼灸治療院 野崎真治