最初から「原因」を
決めつけない。
慢性的な痛みでは、痛む場所と、症状に関係している可能性のある筋肉の位置が異なることがあります。一方で、すべての痛みが筋肉に由来するわけでもありません。
当院では、解剖学と運動学に基づく考察に、手指による触診、鍼の刺入感覚、患者さんの言葉、施術前後の変化を組み合わせます。ひとつの情報だけで判断せず、仮説を立てて確かめ、必要に応じて組み立て直します。
OBSERVATION & INTERVIEW
視診と問診から、
症状の背景と手がかりを探る。
初診では、痛む場所や発症時期だけでなく、仕事中の姿勢、睡眠、動悸、胃腸の状態、息苦しさなども伺います。皮膚の色調、色素沈着、毛穴、筋肉の膨らみや左右差を観察し、関節可動域や動き方も確認します。
可動域の確認は主に初診時に行い、その後は必要に応じて再確認します。毎回同じ検査を形式的に繰り返すのではなく、その日の症状から必要な情報を選びます。
ここで立てるのは確定診断ではなく、施術を進めるための仮説です。

PALPATION
触診で指先に伝わる抵抗から、
深部の筋層をたどる。
筋肉は何層にも重なっています。触診では、指先に伝わる抵抗の変化を感じながら、押す角度や方向を少しずつ変えます。表層の組織をずらし、指を密着させたまま力を伝えることで、奥にある硬さや反応を確かめます。
同じ場所でも、角度や方向によって指先に伝わる感覚は異なります。その違いを、次の判断の手がかりにします。

NEEDLE FEEDBACK
鍼先に伝わる抵抗から、
深部の筋肉の反応を捉える。
鍼は、決められた場所と深さに刺して終わりではありません。硬い組織の中を通る抵抗、筋膜などの層を越える感触、目的とする筋が鍼をつかむような感覚、骨付着部付近の細かな抵抗を手がかりにします。
適切な場所に届いたときに生じる独特の「響き」も大切にします。ただし、強い刺激を我慢していただくことが目的ではありません。初診時は特にこまめに確認し、触診時の過敏さ、鍼の経験、恐怖心、体調に合わせて刺激と本数を調整します。

PATIENT RESPONSE
響きと関連痛から、
痛みの発生源を探る。
触診や鍼による刺激で、普段感じている症状に似た感覚や関連する痛みが現れることがあります。患者さんの「そこです」という反応も、施術部位を考えるうえでの大切な手がかりになります。
ただし、症状が再現されたからといって、そこが唯一の原因だと決めつけることはしません。触診、動作、痛みの広がり方など、複数の情報と合わせて考えます。
RE-ASSESSMENT
抜鍼後の再触診で、
筋の変化を見極める。
鍼の響きが減っているか、触れたときの圧痛や関連痛が減っているか、筋が緩んでいるか、抜鍼時に抵抗なくスッと抜けるかを確認します。
抜鍼後は手技を兼ねて毎回再触診します。動作時痛がある方には同じ動きを再確認し、筋の硬さや痛みが残る場合には、必要に応じて再度鍼を行います。
次回来院時には、施術後のだるさ、痛みの増加、強い倦怠感がなかったかを重視します。反応が強かった場合は、次回の刺激を弱め、鍼の本数も減らします。
「施術をした」ことではなく、
身体がどう反応したかまで見る。
DAILY GUIDANCE
施術と日常を、
セルフケアでつなぐ。
身体の状態には、日常の姿勢や運動習慣、睡眠、ストレスなどが関係する場合があります。必要に応じて、運動やセルフケア、自律神経に配慮した生活上の助言を行います。
患者さんが日常生活の中でも自分の身体を観察し、無理のない範囲で管理できるようになることを大切にしています。

OUR PRINCIPLE
感じ取り、
考え続ける治療。
長年の臨床で培ってきた指先と鍼先の感覚。解剖学と運動学に基づく判断。患者さんの声と、施術前後の身体の変化。これらを大切にしながら、一人ひとりの身体に向き合います。
のざき鍼灸治療院 院長
野崎 真治