大腰筋
骨盤後傾、腰の伸びにくさ、立ち上がり始めの痛み、鼠径部痛、股関節可動域などから関与を検討します。
単なる筋力低下ではなく、硬さによって本来の働きを発揮しにくい「筋機能不全」という視点で考えます。
DEEP MUSCLE & DEQI
鍼が深部の適切な場所に届いたときに生じる、独特の「響き」。
患者さんの感覚、鍼先から伝わる抵抗、抜鍼後の筋の変化を照らし合わせ、施術を組み立てます。
WHAT IS DEQI?
鍼灸では、適切な場所へ刺激が届いたときの反応を、古くから「得気(とっき)」と呼んできました。当院では、この専門用語を神秘的なものとしてではなく、患者さんが感じる重だるい響きと、術者が鍼先に感じる動きや抵抗の両方を表す言葉として捉えています。
基本的には、施術する場所で響きを確認します。ただし、反応の弱い場所ではあまり響かないこともあります。刺激に敏感な方、響きが苦手な方、初めての方、鍼に恐怖心がある方には弱く進めます。
響きが強いほど効果が高い、強い刺激ほどよい、と一律に考えるものではありません。
INFORMATION FROM THE NEEDLE
深部へ鍼を進めると、硬い組織の中を通る連続的な抵抗や、筋膜などの境界を越える感触が指先へ伝わります。目的とする筋では、筋が鍼をつかむような感覚が現れることがあります。
筋の骨付着部付近では、硬く薄い層へ触れるような感触や、細かな抵抗を感じることがあります。当院では、筋の付着部や骨膜に近い組織の状態を考える情報の一つとして扱いますが、鍼先の感触だけで組織の状態を断定することはありません。

REPRESENTATIVE DEEP MUSCLES
施術部位は、関連痛の図だけで決めません。問診、視診、運動学、全体の触診、関節可動域や動きの左右差、長年の臨床経験を合わせて候補を絞ります。
骨盤後傾、腰の伸びにくさ、立ち上がり始めの痛み、鼠径部痛、股関節可動域などから関与を検討します。
単なる筋力低下ではなく、硬さによって本来の働きを発揮しにくい「筋機能不全」という視点で考えます。
殿部から脚へ広がる、坐骨神経痛に似た症状で確認する筋の一つです。触診や手技、鍼で普段の症状に似た感覚が現れるかを重視します。
腰椎・神経などが関係する場合もあり、小殿筋だけを原因と決めつけません。
頭痛、ふわふわするめまい、倦怠感、目の疲れやかすみを問診で伺ったときに、関与を検討します。
その場で症状が再現されるとは限らず、数回の施術を通して強さと頻度の経過を見ます。
首・肩のこり、背中の痛み、長時間の座位、背骨の動かしにくさがあるときに、背骨の近くにある深部まで確認します。
多裂筋は、背骨の細かな動きと姿勢の安定に関わる筋です。
TREATMENT CYCLE
「そこが普段の痛いところです」という感覚や関連痛、鍼先の抵抗を合わせます。
響きが減る、筋が緩む、抜鍼時に抵抗なくスッと抜けるといった変化を確認します。
施術前後の筋の硬さ、圧痛・関連痛を毎回比較します。動作時痛があれば同じ動きも再確認します。
筋の硬さや動作時痛が残る場合は、その日の状態に応じて追加の施術を行います。
INDIVIDUAL DOSING
睡眠、動悸、胃腸の状態、息苦しさなどを問診で確認し、触った際の過敏さ、鍼の経験、恐怖心も含めて刺激量を決めます。自律神経に関係すると考えられる症状がある方には、刺激と施術量を控えめにします。
次回来院時には、施術後のだるさ、痛みの増加、強い倦怠感を確認します。反応が強かった場合は、鍼の刺激を弱め、本数も少し減らします。
施術後、鍼をした部位に筋肉痛のような痛みが出ることがあります。多くは3日程度が目安ですが、反応には個人差があります。次回来院時に経過をお伝えください。
SELF CARE
背骨の回旋や伸展を、呼吸とともに行うセルフケアです。各10回程度、1日2回を目安に、無理のない範囲で行います。
THORACIC ROTATION
横向きで骨盤を安定させ、顔と腕を一緒に後方へ開きます。呼吸を止めず、胸椎の回旋を促します。
EXTENSION BREATHING
息を吸いながら手のひらを外へ向け、腕をやや後ろへ。肩を内側へ寄せ、息を吐きながら力を抜きます。
痛み、めまい、息苦しさ、強い疲労などが出る場合は中止してください。状態に応じて回数や動きの大きさを調整します。
AUTHOR & DISCLOSURE
情報の区別:得気に関する研究上の説明と、鍼先の抵抗・抜鍼後の変化など当院で重視する臨床的な手がかりを区別しています。後者は院長の臨床経験に基づくもので、客観的診断法として確立したものではありません。
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