トリガーポイントを知って、ロコモを予防する・治療する。

脚の老化を自覚したら、ロコモ予防を考えましょう

日常の立ち座りや、階段の上り下りをつらく感じる。膝が痛い、動かし難くなった。つまずきやすい、歩くのが遅くなったようだ。
こんな自覚があったら、ロコモ(ロコモティブシンドローム)の始まりかもしれません。

・ロコモティブシンドロームとは

運動器(特に膝・腰など脚部)の障害が、日常生活で移動する機能の低下をもたらします。これをロコモティブシンドローム(運動器症候群)といいます。

・ロコモティブシンドロームのセルフチェック

運動器の衰えは、歩幅が狭くなったり、階段を上がるのに手すりが必要、などのサインがあります。老化は足の衰えからといいますね。老化のサイン詳しくは、ロコモチャレンジ!「ロコモ度テスト」(外部サイトが開きます)をご参照ください。

・ロコモが進むと要介護のリスクが高くなる!

ロコモが進行すると、要介護・要支援のリスクが高まります。立つ、座る、歩くといった日常動作が思うようにできないと、転倒、骨折につながりやすくなります。そうなると、次にくるのが、自分の足で歩けない、寝たきり等の、介護が必要な状態です。

・ロコモティブシンドロームの予防と治療

日常生活を普通に送れ、自立した状態を維持できる年齢を健康寿命といいます。健康寿命を延ばすためには、ロコモを予防・治療することが大切です。
ロコモは、運動器の故障から始まります。激しい運動や事故によるケガなどが原因のこともありますが、老化による脚の障害が多くを占めます。ひそかに進行するロコモは、老化にともなう筋力の衰えが大半といっていいでしょう。

ロコモ対策は、トリガーポイントが鍵!

一般にいわれるように、年をとると筋力が落ちてきます。加齢による筋肉の衰えは生理的なものですから、止めることができません。とはいえ、適切な運動等によって筋力を維持することは可能です。
筋力を長く保持できれば、運動器の機能衰えを予防し、自立した生活を送る、健康寿命を延ばすことができるでしょう。このとき鍵になるのが、トリガーポイントなのです。

・筋肉と腱(すじ)は第二の骨格

ロコモ予防を考えるとき、骨格・関節は筋肉・腱が支えているという事実に注目しましょう。そのため筋・筋膜・腱は、第二の骨格ともいわれます。
運動器の痛みやだるさは、骨・関節というより周辺の筋・腱に感ずるのは、多くの方が経験すると思います。そして、その痛みと関節の動かし難さは、筋膜・腱に生じたトリガーポイントが関係しているのです。
ロコモの原因は骨・関節よりも、むしろ筋肉の衰えと筋膜・腱のトリガーポイントにあるといえます。ですから、ロコモの予防と治療は、筋肉と腱がポイントになるのです。
※写真は南流山センターにて、体操教室コスモスさんとの〈膝痛と体操のコラボ講座〉です。

・ロコモティブシンドロームとトリガーポイントの関係

ロコモ(運動器障害)の原因は、関節の変形や軟骨の擦り減りよりも、筋膜と腱に生ずるトリガーポイントと関係の深いことが、日本医学界の一部では認識されるようになってきました。

ロコモの原因が筋力の衰えだけでなく、トリガーポイントにもあるとすれば、ロコモ対策は筋力の維持のみでは不十分です。トリガーポイントが生じないようにする予防、できてしまったトリガーポイントを治療することが、ロコモ進行を防ぐために有効となります。

また、筋・腱に痛みがある、関節が動かし難い状態では、ロコモ予防運動の効果がなかったり、ときには運動器疾患を悪化させることもあります。予防と治療、ロコモ対策はトリガーポイントが重要な鍵となるのです。

ロコモの予防は、痛みを感じる前に

トリガーポイントが原因のロコモには、いくつかの段階があります。重度な状態からいうと、

  1. トリガーポイントが原因の痛みがきっかけで、関節の動きが制限される。そのため筋力が衰え、最終的に関節の変形へ進みロコモとなります。
    この場合は、トリガーポイントの治療がロコモ治療となります。
  2. トリガーポイントが原因で関節が痛む、動かし難くなった。しかし、まだ筋力の衰えや関節の変形には至ってない、ロコモ予備軍状態。
    この場合、トリガーポイントを治療することが、ロコモ進行の予防となります。
  3. 運動器の痛みも、関節の動かし難さもないが、触察するとトリガーポイントが認められることがあります。
    潜在性トリガーポイントは、やがて顕在化する可能性があります。そこをセルフマッサージすることで、ロコモの予防となります。
  4. 普段の姿勢が悪いと、知らず知らずのうちに局所のトリガーポイントが形成されやすいものです。姿勢を改善する運動を心がけていれば、トリガーポイントができにくく、ロコモの予防ともなります。

のざき鍼灸治療院、ロコモ予防と治療の取り組み

のざき鍼灸治療院では、流山市の治療院として、地域の皆様の健康保持・ロコモ予防のため「自分でできるヒザ痛改善講座」を開催しています。
ロコモティブシンドロームと健康寿命の解説。トリガーポイントの観点からみる、ロコモ予防トレーニングの指導などを行っています。


(常盤平地域包括支援センター。流山商工会議所が主催する流山市内各自治会での講座。流山まちゼミ等でも講演と指導に当たらせていただいております)

・ロコモ対策でいちばん大切なのは、ロコモの予防です

骨格・関節は筋・腱に支えられています。膝など関節の故障(痛みや動かし難さ)の原因も、骨ではなく筋肉・筋膜にあると考えるのが合理的です。それならば、ロコモ予防に有効なのは適切な筋力トレーニングとなります。
その際は無理に運動をするのではなく、痛みや関節の動かし難さを解消してからが望ましいことです。また痛みや関節の動かし難さの自覚がなくても、長年の生活習慣でトリガーポイントが形成されていることがあります。セルフマッサージとロコモ予防トレーニングの併用が効果的です。

・ロコモが進行したら、どのような対策があるでしょう

ロコモの予防に加えて、ロコモの治療もトリガーポイントが鍵になります。関節の痛みや動かし難さといった運動器疾患は、トリガーポイントが原因で発症することが多いのです。
昔からいわれる「筋を違える」が、実は筋・骨格系、関節の痛みと病態の本質を表していたのかもしれません。

検査の結果、骨格・関節に異常がなくても、痛み・動かし難さが続くなら、筋膜・腱のトリガーポイントを疑った方がいいと思います。関節・骨格の変形といった異常も、トリガーポイントによるものがあります。
骨を削ったりヒアルロン酸を注射しなくても、トリガーポイント治療で症状が治まることがあります。