トリガーポイント注射

近年、原因のはっきりしない痛みに、トリガーポイント注射が注目されています。ペインクリニックや整形外科でおこないます。局所麻酔薬をトリガーポイントへ直接筋肉注射するので、神経ブロック注射に比べ、患者の負担が少ないとされます。

しかしながら、様々な研究・報告から、トリガーポイントへの局所麻酔薬の注入は、必ずしも必要ではなく、注射針の刺入だけで十分である。筋肉内に局所麻酔薬を注入させることは、かえって生体への侵襲が強く、筋肉の性質を変化させるため、望ましくないとの見解も出てきました。

さらにもう一つ問題がありまして、痛みを感じている本人には、その原因となっている場所がわからないということなのです。運動器の痛みは、皮膚よりも深部にある筋膜や腱、靭帯などに存在する受容器が発痛するので、場所があいまいに認知されたり誤認します。
本人が「ここ!」と思っていても、2分の1から3分の2の確率で、そこは本当に痛みを発しているところではないと考えられます。その場合、患者の自覚する部位にいくら注射や鍼・マッサージを施しても、あまり効果は望めないでしょう。

トリガーポイント鍼療法(発生源認知)

トリガーポイント鍼療法では、痛みを発している受容器を《責任トリガーポイント》と呼んでいます。関西医療大学の黒岩共一教授が、正確な責任トリガーポイント検索法を2000年頃に確立しました。
痛みを出す動作などから、原因として考えられる筋肉などを推測して、それらの組織の最も感作されやすい、「筋と骨」「腱と骨」「筋と腱」などの「異なる構造物の接合部分」及び「筋縁の最深部」に鍼を打っていくという方法です。

黒岩教授が率いるトリガーポイント研究会でおこなっている、責任トリガーポイント鍼療法では、《発生源認知》というものを最重要視します。
発生源認知とは、責任トリガーポイント=発痛部に鍼などが当たった時に生ずる、「私の痛い所はそこ!」「痛い所に鍼が当たった」「痛い所が刺激された」「あ!私の痛み」といった感覚です。
そこに鍼が当たった時は、まさに瞬間に「そこ!」「これ!」とわかります。この感覚こそが、痛みの原因に鍼が当たったという証左です。痛みを発している元に直接鍼が当たっているからこそ、根本から痛みを除去できるのです。

《発生源認知》のないその他の療法でも、症状の緩和はできるかもしれません。しかし痛みの根源である、《責任トリガーポイント》はそのまま残っていると思います。
それに対し、責任トリガーポイント鍼療法において、発生源認知を出すことのできた場合は、痛みの根源である発痛している受容器を直接刺激します。痛みの原因を元から絶つことができるのです。

《責任トリガーポイント鍼療法》は、現代医学的疼痛治療や東洋医学的伝統鍼灸に対してパラダイムシフトを迫るものといえます。